この文庫本は昭和43年(1968年)重版、定価170円。そもそもどうしてこんな古い本が私の本の山にあったのかわからない。古本屋で安く手に入れたのだろうか。それともどこかで拾ったのか。 志賀直哉を国語の教科書や受験問題等で読んだことはあるが、小説本として読んだのは初めてだ。この人は文豪というイメージしかなかったが、子供時代は自転車を乗り回して他の自転車乗りの人に喧嘩を売ったり、学習院の中学で落第したりと、結構やんちゃ坊主、悪ガキという面もあったのを知って驚いた。 一つ一つのセンテンスが短くて読みやすいのだが、筆者が何を言いたいのか考え始めると途端に視界不良になる。「それは読み手に任しているのだよ…