阿川弘之の「志賀直哉」とその周辺の人物についての記録文学。 野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。
志賀直哉〈上〉 (新潮文庫)
志賀直哉〈下〉 (新潮文庫)
1883年2月20日宮城県石巻町生まれ。作家。1971年没。父直温、母銀の次男として生まれる。
1910年、武者小路実篤、有島武郎らと「白樺」を創刊。以降「白樺派」として戦前の小説界を牽引する。異名「小説の神様」。自らを題材に採った告白小説・私小説を中心として執筆。太宰治『如是我聞』などでの批判をのらりくらりとかわす。
砂茶屋から富雄川上流を見る、橋は暗越大坂街道の下鳥見橋、田圃に分水するために堰き止めている、2009年撮影 志賀直哉が奈良の上高畑に住居を新築し移り住んだのが昭和4年(1929)4月、東京へ移転したのが昭和13年4月であった。昭和12年3月に長編「暗夜行路」を完成さしているが、高畑在住の9年間、創作活動は活発だったとは言いがたい。数少ない創作のなかに昭和8年12月に書かれた「日曜日」がある。小説とも随筆ともつかぬ小品にして、奈良住まいの或る日の家族そろって外出し遊んだ体験が描かれる。直哉に師事した阿川弘之の評伝『志賀直哉』に、「品のいいユーモアがあり一種典雅な趣があり、好き嫌ひは別だが、満50…
最近は、デジタル端末による「本」が増えてきている。そもそも、紙の原稿に手書きする作家よりも、パソコンで創作する作家の方が増えている。それどころかスマホで創作する作家さえいるらしい。 デジタルだからこそ編集が楽だったり、かさばらないという利点があったりするのは分かる。が、取りこぼされてしまう作品は、かえって増えるのではないかと思う。 ネットのクラウドに漂っているデータの中に埋もれて、誰が創作したのか分からなくなってしまったり、あっさりと消去されてしまったりするリスクが高い気がするのだ。 芥川龍之介が自作の詩12編をつづった冊子が、東京都内の古書店で見つかったそうだ。専門家の間では存在は知られてい…
小僧の神様 (講談社青い鳥文庫 169-1)作者:志賀 直哉講談社Amazon 先日、『小僧の神様』『清兵衛と瓢箪』『城の崎にて』の朗読CDを聴きました。サウンド文学館●パルナス8 ◆『小僧の神様』~志賀直哉の神様劇場~ https://diletanto.hateblo.jp/entry/2025/05/20/062438 それに関して、講談社青い鳥文庫に入っている志賀直哉の作品集を図書館から借りてきました。 上に挙げた三作品も当然入っていました。その他の作品について感想を覚え書きしておきます。 【菜の花と小娘】 執筆されたのは処女作「網走まで」より早く、直哉自身が「別の意味で処女作と云って…
サウンド文学館●パルナス8 ◆志賀直哉『小僧の神様』 この巻はサウンドドラマではなく竹下景子さんの原文朗読になっています。 『小僧の神様』は有名な作品ですね。 一見、子どもでも読める分かりやすいストーリーとなっていて、そのままシンプルに描いていたら教訓的な童話になって「ええ話や、めでたしめでたし」で終わりそうな話。 ところが貴族議員Aの複雑な心境だとか、最後に著者が登場して創作の方針みたいなことを語るなど、ややこしい要素が入ってきて考えさせられるようになっています。 志賀直哉はこのようなタイプの作品を多く書いているのかと思えば、他には書いていないようです。こんな風にちょっと不思議なオチがあって…
スパイとして潜り込んだ屋敷を出るために練り出した作戦は想定外の展開に。伊達騒動が舞台のラブコメタッチの時代劇&元祖サザエさん? 製作:1936年 製作国:日本 日本公開:1936年 監督:伊丹万作 出演:片岡千恵蔵、原健作、毛利峯子、志村喬、杉山昌三九、他 レイティング:一般(どの年齢の方でもご覧いただけます) ◆◆ この映画の猫 ◆◆ 役:☆☆(脇役級) 主人公が飼っている猫 名前:ろく 色柄:白(モノクロのため推定) ◆蠣太の蠣は貝のカキ このブログで伊丹万作の随筆や脚本について触れてきましたが(注1)、監督作品を紹介するのは今回が初めてです。 脚本は伊丹万作自身で、原作は志賀直哉の同名の…
まず「作家」を目指し、いろいろとチャレンジする人生を送ってみようと考えました。 病室で病気のことをいろいろ悩んでいた時に、ゴルフ仲間が「国立国会図書館に自分で書いた本が登録されると作家と呼べるようになる」と教えてくれました。 今ここにいる「我」と文章を書いている「我」、自分の二面性を認識しています。病室で考えたペンネーム「我、二人(われ ふたり)」を大切にしようと思いました。サラリーマン時代は建設会社に勤めていたので、建設工事(こうじ)という言葉の響きと長年お付合いしてきました。そのために「我二」をむりやり「こうじ」と呼んでみようと思いました。 自分の本名も少し入れて「澤 我二(さわ こうじ)…
白樺派は、1910年(明治43年)創刊の文学同人誌『白樺』を中心にして起こった文芸思潮の一つであり、その理念や作風を共有していたと考えられる作家達のことである。 雑誌「白樺」に依拠して、キリスト教、トルストイ主義、メーテルランク、ホイットマン、ブレイクなどの影響を受けつつ、人道主義、理想主義、自我・生命の肯定などを旗印に掲げた文学者たちが白樺派に名を連ねる。 この記事では白樺派について解説したい。 白樺派とは? 白樺派の主要な作家と作品 武者小路実篤 志賀直哉 有島武郎 白樺派の特徴 人間性への関心 理想主義 自然主義の影響 白樺派とは? 白樺派とトルストイ: 武者小路実篤・有島武郎・志賀直哉…
たしか「小説の神様」って呼ばれていたはずだよなと思って検索をかけ てみましたら、この時代に「小説の神様」といえば、相沢さんという作家さん の作品となるようで、当方の常識は通用しませんでした。 そういうことで、言葉追加して検索をしてみましたら、やっとこさでヒット することにです。昭和時代にはググるなんてことはできなかったのでありま すが、その時代でありましたら、小説の神様といえば志賀直哉と返ったこ とでありましょう。 本日に検索した「小説の神様 志賀直哉」は2021年に没後50年とあり ました。もうな亡くなって半世紀以上になるのですから、読まれなくなって いても不思議でもないことで。 特に、19…
高峰秀子と作家たち 作者:高峰 秀子 河出書房新社 Amazon もちろん才能があるからなのだけれど、つくづく高峰秀子はすごい。 大女優だから、ということももちろんあるのでしょうが、文豪にこんなに愛されちゃって〜! この本は高峰秀子の文士たちとのつきあいのエッセイや対談(三島由紀夫ってマジで三島由紀夫だな〜w)、そして文章を書くことについてのエッセイを集めたもの。収録されていないそういった文、たくさんあるんだろうな〜。 そして好きな作家はベタ褒めなんだけど、小気味いいから嫌味にならない。 志賀直哉や谷崎に対しての「愛」もすごいけど、短文ながら沢木耕太郎への賞賛がなかなかなものでした。 作家たち…
志賀直哉旧居(現・奈良学園セミナーハウス) 志賀直哉旧居 庭から撮影 どんなたてもの? ・志賀直哉が自ら設計・家族とともに9年間暮らした・『暗夜行路』をここで完成させた・文化人が集まったサンルーム「高畑サロン」 志賀直哉旧居(現・奈良学園セミナーハウス) どんなたてもの? 道のり 見学レポート マップ 2階へ 1階 書斎 お茶室とお茶庭 お風呂場 女中室 キッチン 食堂 サンルーム 夫人の間 直哉の居室 子どもの勉強部屋 裏庭 おわりに 道のり バス停「破石町(わりいしちょう)」からの道のりはこちらで案内しています。 shishi-tatemono.hatenablog.com 見学レポート …