「Sクンからね、」と彼女がスマホを持って言う。「今度の日曜、母校で講演することになって、こっちの方に来るんだって。京都でご飯でも食べないか、って」「ほうほう。楽しみだねえ」「今度の日曜か…」と彼女はカレンダーを見ながら、「元カレだし」 うん? 元カレ?「あ、そうだったんだ」 その時、ぼくはどうしてか、楽しくなった。 嫉妬とか、何かヘンなような、暗い気持ちには全くならなかった。 なんだかワクワクして、ほんとに楽しい気分になったのだ。 信じるとか信じないとか、そんな大仰なことでもない。 愛しているとか愛していないとか、そんなものでもない。 まったく、どうしてか、愉快な気持ちになった。「なんか、オラ…