3258g──それは、息子がこの世に生まれたときの体重。出産自体はわずか数時間の出来事だったけれど、そこにたどり着くまでの道のりは、険しく長いものだった。 私たち夫婦は、“子ども”という存在が少し苦手だった。「生まれたら中学生だったらいいのにね」「毎日、水かけたら大きくなるならいいのにね」そんな冗談を言い合っていたくらい。 でも、私たちが子どもを望んだとき、「普通」には難しいのだと分かっていた。それは、私自身が──「不妊」という言葉では括れないほど、複雑な病を抱えていたから。 辛い検査、臨床実績の少ない手術、療養、未承認薬の服用……期待しては落胆し、それでも諦めずに続けた日々だった。 そしてよ…