面白かった。 単行本380ページ。長編だが、長さはあまり感じない。 作者である佐々木譲の名は、本作ではじめて知った。しかし、奥付には1979年に『鉄騎兵、跳んだ』でオール讀物新人賞、とある。このタイトルには見覚えがあった。このころ僕は、高田馬場にあるスクールで、文章作成の講座をとっていて、担当の先生が、同じ賞を受賞していた。たぶん、その関係で覚えていたのだと思うが、読んだことはなかった。また、以前本欄で紹介した『作家の値うち』(小川版)でも、警察小説の高評価に対して、佐々木の歴史小説に対する評価は今一つだった。 本作は、歴史小説にSFの要素を絡ませたもの。日中戦争、太平洋戦争で、日本は中国、米…