何年も前、NHKラジオ「朗読の時間」だったかで清沢洌〔きよし〕の評論が取り上げられていた。その時初めて清沢洌という人のことを知り、興味が湧き、岩波文庫で『暗黒日記』と『清沢洌評論集』を買い求めた。他にも読みたい本があって、この2冊にはなかなか手が回らずに本棚に放り込んだままになっていたのを先日取り出して読んでみた。分かりやすくておもしろい(おもしろいといっては語弊があるかもしれないが)。広く読まれるべき本だと思う。 『暗黒日記』の解説(山本義彦)によれば清沢は1890年生まれで1945年没。1906年に渡米し、1918年に帰国。「中外商業新報」外報部長、「東京朝日新聞」企画部次長を歴任したが、…