寝入るとき、人はとつぜん一人になります。二人で抱きあって寝ていたとしても、眠りに入った瞬間に二人は別れます。どんなに愛し合っていても、二人いっしょに眠りの中にいることはできません。 お墓とはちがうのです。そんなの、嫌ですか? 悲しいですか? お風呂もベッドも夢も、いっしょじゃなきゃ嫌。せっかく生きているのに。人生の三分の一は眠っているというのに。 お風呂はお墓に似ている、と書いた作家は誰だったか? それとも、浴槽は棺桶に似ている、だっけ? そういえば、トイレで縦長のドアが並んでいるのを見るたびに、縦に並べたお棺に見えると語った女性を思いだしました。女性専用のトイレに入ったことがないのに、妙にリ…