1.景行天皇、豊後に上陸す 日本書紀中の景行天皇(第十二代、実在不詳)の事績を記した部分を「景行記」という。ここに九州遠征(熊襲征伐)の記述がある。「熊襲」は東北の蝦夷同様に九州南部に住んでいた大和王権に従わない勢力である。 景行記の豊後に関する要点は、碩田国(おおきだ、大分)に入り速見邑の「速津媛(海人族の族長)」に迎えられ、「鼠石窟(鉱山の仮称か)」に住む「土蜘蛛(在地勢力、鉱物資源を巡る敵対勢力とも)」を退治して欲しいと頼まれる下りである。 2.水行説 景行記に、唯一、佐伯地方と思しき記述がある。「穂門郷」に御船を寄せて「最勝海藻(ほつめ、美しい海藻)を取れ」という部分である。一方、豊後…