映画『有りがたうさん』(1936)は、川端康成の掌篇「有難う」を清水宏が大胆に脚色。「有りがたうさん」と呼ばれるバス運転手に上原謙が扮し、伊豆の山道を往復する乗合バスの乗客たちの姿をオールロケで描いた作品だ。 東京に身売りされようとする若い娘をはじめ、バスに乗り合う人々や、道行く様々な人々の姿を移りゆく風景の中にとらえ、人情ものの中に社会不安や当時の情勢を映しこんでいる。 清水はバスを題材にした作品を多く発表したが、本作もその中でも傑出した作品のひとつだ。 目次 映画『有りがたうさん』作品情報 映画『有りがたうさん』あらすじ・感想 映画『有りがたうさん』作品情報 1936年/76分/35mm/…