🌸🎼 朧朧たる夢の終わりと朝月夜的なBGM 🌼written by 鷹尾まさき(タカオマサキ) その時分に尚侍《ないしのかみ》が御所から自邸へ退出した。 前から瘧病《わらわやみ》にかかっていたので、 禁厭《まじない》などの宮中でできない療法も 実家で試みようとしてであった。 修法《しゅほう》などもさせて尚侍の病の全快したことで 家族は皆喜んでいた。 こんなころである、 得がたい機会であると恋人たちはしめし合わせて、 無理な方法を講じて毎夜源氏は逢いに行った。 若い盛りのはなやかな容貌《ようぼう》を持った人の 病で少し痩《や》せたあとの顔は非常に美しいものであった。 皇太后も 同じ邸《やしき》に…