詩「春と修羅(mental sketch modified)」(1922.4.8)の特に出だしの4行は難解である。前稿で,最初の2行「心象のはひいろはがねから/あけびのつるはくもにからまり」は「イライラした憂鬱な気分になっていると,あけびの蔓のように自分の愛欲が1人の女性に絡まってしまい解けなくなってしまった」という意味のようだと報告した。本稿では3行目「のばらのやぶや腐植の湿地」と4行目「いちめんのいちめんの諂曲(てんごく)模様」の意味について考察する。 3行目の「のばら」は「ノイバラ(野茨)」ではなく,1ヶ月後の詩「習作」(1922.5.14)に「野ばらが咲いてゐる 白い花/秋には熟したい…