「図書館を扱った作品」の第二弾は、門井慶喜『おさがしの本は』(光文社文庫、2011年)。入職7年目の図書館員和久山隆彦の視点で、N市立図書館が抱える問題点を浮き彫りにした連作短編集。「本探し」を軸にした五つの話を通して、本・図書館・司書のパワーと大切さが提示されています。また、本に関する著者の造詣の深さを垣間見ることができる作品に仕上げられています。 [おもしろさ] 司書のやる気の「再発見」と図書館廃止論との対決 当初は「希望通りの配属先」と思い込んでいた市立図書館。楽しくないはずがありません。定期刊行物の整理、貸出カードの作成、館内の見回りなど、起伏に乏しい作業に精出しながら、隆彦は、おのれ…