昨年12月に刊行されたロバート・ダーントンの『検閲官のお仕事』(2014年、上村敏郎、八谷舞、伊豆田俊輔訳、みすず書房<2023年>)を読んだ。三部に分けて、18世紀のブルボン朝フランス、イギリス支配下の19世紀インド、20世紀の東ドイツで書籍の検閲がどのように行われていたのかを丹念に追った著作だ。 フランス、インド、東ドイツの検閲を追った『検閲官のお仕事』 この作品は私にとって二作目のロバート・ダーントンの著作だ。最初に読んだのは『革命前夜の地下出版』(1979年、関根素子、二宮宏之訳、岩波書店<1994年>、2023年4月16日に小ブログで紹介済)で、この研究書はスイスのヌーシャテル印刷協…