【55話】 「ユ、ユウコちゃん。何でここに!?」 俺は驚きで声が震えた。 ユウコは少し息を切らしながら答えた。 「大勢の男子が公園に入るところを見ていたら、108君が見えて。そしたら、108君が囲まれて。私、先生を呼びに学校に戻ったの」 俺はその言葉を聞いて、胸が熱くなった。 「そうだったのか、おかげで助かったよ。ありがとう!」 俺たちは、久しぶりに『禁断のベンチ』でいろいろなことを話した。 あのベンチは、学校の裏手にひっそりと佇む場所で、誰にも邪魔されない秘密の場所だ。 「トモオ君のこと、覚えてる?」 俺は尋ねた。 ユウコは微笑んで頷いた。 「もちろん。トモオ君、膝の怪我が原因でサッカーを辞…