封切り三日目。 席数89の【シアター8】の入りは九割の入りで盛況。 『大九明子』の手腕は、コミュニケーション不全の人間を主人公にした時に、抜群の冴えを発揮する。 〔勝手にふるえてろ(2017年)〕の『松岡茉優』しかり、〔私をくいとめて(2020年)〕の『のん』しかり。 それを本作では男子大学生に置き換え、新たな傑作を生みだした。 故郷の横浜を離れ「関西大学」に通う『小西(萩原利久)』は、家庭の事情もあり大学を長期間休んでいた。 大学の敷地内では日傘をさすとの奇矯な行動に象徴されるように、他の学生との間に自分から垣根を作っており、学内に友人は『山根』しかいない。 そんな彼が、独りで蕎麦を啜るシニ…