藤枝梅安シリーズがテレビで放送されていると、つい見てしまう。 バイオレンス時代劇としてテンポよく面白い。 冒頭、ある仕掛け(殺し)の仕事で、父の仇と狙った浪人にとりこまれ、お稚児のように扱われている少年が出てくる。少年の母の依頼で浪人は殺されるが、少年も後追い自殺してしまう。ひとたび支配されてしまうと、そこから抜け出して生きることは難しい、と仕掛人のひとりはいう。そのことが、通奏低音のように映画に響く。 藤枝海安は萬屋錦之介、伊丹十三が、関西からやって来た同業の近江屋左兵衛という敵役で、ひょうひょうとして憎々しい。自分の妹お園(小川真由美)を腹違いの兄である悪代官に差し出すが、実は左兵衛もお園…