椿の海の記 :石牟礼 道子|河出書房新社 『苦海浄土』の著者の最高傑作。精神を病んだ盲目の祖母に寄り添い、ふるさと水俣の美しい自然と心よき人々に囲まれた幼時の記憶。1927年熊本県天草生まれ。 GWは湖のほとりのコテージに宿泊し、自然の中で読書。 少しずつ読み進めていた、椿の海の記を読む。 他の本と明らかに違い、言葉や情景を味わい、ゆっくり読み進める本。 石牟礼さんが幼少期の昭和初期、水俣の風景・人々の様子が描かれている。 P9春の花々があらかた散り敷いてしまうと、大地の深い匂いがむせてくる。海の香りとそれはせめぎあい、不知火海沿岸は朝あけの靄が立つ。朝陽が、そのような靄をこうこうと染めあげな…