労をしてきた間に少し少なくなった髪が、 肩の下のほうでやや細くなりさらさらと分かれて着物の上にかかっているのも、 かえってあざやかな清さの感ぜられることであった。 今はこうして自分の庇護のもとに置くがあぶないことであったと 以前のことを深く思う源氏は、 この人を情人にまでせずにはおかれないのでなかろうか。 肉親のようにまでなって暮らしていながらもまだ源氏は物足りない気のすることを、 自身ながらも奇怪に思われて、表面にこの感情を現わすまいと抑制していた。 「私はもうずっと前からあなたがこの家の人であったような気がして満足していますが、 あなたも遠慮などはしないで、私のいるほうなどにも出ていらっし…