橘則光の詩情豊かな和歌―清少納言との縁をめぐって 平安文学を代表する随筆『枕草子』で知られる清少納言(せい しょうなごん)は、二度ご結婚されています。最初のご夫君は橘則光(たちばなの のりみつ)、後のご夫君は藤原棟世(ふじわらの むねよ)と申します。 清少納言が橘則光と離婚された理由は、性格の不一致と言われております。文才に恵まれた清少納言に対し、橘則光は武勇に優れた人物でございました。盗賊に襲われた際には反撃するなど、その胆力は優れていた一方で、友人に対して「和歌を詠みかけたら絶交する」と宣言するなど、風雅を愛することには、少々疎かったようです。しかし、そのような橘則光も、実は勅撰和歌集に和…