食欲不振の際に処方される代表的な漢方5方剤を下記表に列記しました。いずれの方剤も生薬数が比較的少なく、即効性が期待できる製剤です。各方剤には、それぞれ特徴的な目標があります。 例えば半夏瀉心湯証では、胃腸の協調的な働きがうまく機能せず、「胃気」が食道方向に逆行して、胸焼け、悪心、嘔吐や口臭などの症状が起こります。したがって、胃食道逆流症で第一選択薬として考慮されます。茯苓飲の目標証は、胃腸の消化機能が低下して水分代謝が滞り、胃液が滞留しがちになる方です。その結果、悪心、胸焼け、胃液の逆流(溜飲)や呑酸などの症状が惹起されます。六君子湯も同様に胃腸機能が低下し、軟便、胃もたれや悪心などの症状が発…