前回の記事までに書いたように、「教誨師」(堀川恵子著、講談社)は批判したいところもありますが、全体としては素晴らしい本でした。一方、「死刑囚の記録」(加賀乙彦著、中公新書)はひどい本でした。特に著者である加賀乙彦の人間観、社会観が拙すぎます。 ここだけで、コイツの読む本は全て価値を失くすと思うほどひどい部分があります。松川勝美という強盗殺人犯についての記述です。松川は典型的な反社会勢力で、身体に大きな刺青と刀傷があり、死刑になる事件の前にも窃盗で2回受刑しており、ちょっとした言いがかりで他人を殴る蹴るのケンカをした、と自慢していました。 加賀は「きみ、率直に聞くけど、死ぬのは怖い?」と松川にた…