『銀河鉄道の夜』の天上(幻想四次空間)を走る列車には死者が乗車してくるので,この物語は,死の向こう側の世界(死後の世界)を扱った作品といってもよい。賢治が描く死後の世界には死者だけでなく,植物が天上を走る銀河鉄道の沿線に沿ってたくさん登場する。これらを銀河ステーションから登場してくる順番で記載すると,「すすき」,「りんだう」,「芝草」,「銀杏」,「かはらははこ」,「米」,「苹果の林」,「たうもろこし」,「河原なでしこ」,「楊(やなぎ)」,「唐檜」,「もみ」そして「くるみ」になる(第1図)。 第1図.銀河鉄道の停車駅,乗客そして沿線の植物. 私は,これまで「苹果」,「唐檜」,「もみ」,「くるみ」…