心 は き れ い に … 児 島 庸 晃 …そう思ってひとり静かに珈琲を飲んでいた。真昼の我が家。冬の日差しが部屋に置かれる午後。私の心が最も純粋になれる時間でもある。身も心もばらばらになってゆく私を、私なりに、それも密かに私を取り戻す。すべての心が浄化されてゆく時間である。謂わば句を作るに一番相応しい私になれている時間なのである。そして私は、畳に置かれた冬日を瞳に入れながら、亡母を思い出していた。 けしきが あかるくなってきた 母をつれて てくてくあるきたくなった 母はきっと 重吉よ重吉よといくどでもはなしかけるだろう これは八木重吉の詩である。この詩のタイトルは「母をおもう」。そのときで…