さて、以上の三部をまとめるとどういうことになるだろうか。 ダーントンは自問する。「検閲とは何なのか」(本書261頁)と。しかし、「この問いは正当なものだが、フランス人が『立て方の悪い問い(questions mal posées)』と呼ぶ概念上の落とし穴の一つ」(本書261頁)と、すぐに身をひるがえす。それは、「もし検閲があまりに厳格に定義されてしまうと、検閲は文脈にかかわらずにどこでも同じように作用する自律的現象のように理解されていまいかねない」(本書261頁)からだという。 それがどういうことなのか、私なりに言い換えると、<検閲>をあまり厳格にとらえると、実質的に検閲が行われていても<それ…