伝統芸能がらみの小説・随筆や芸談が大好きだ。そもそも舞台やお笑いが好きというのもあるが、芸事を極める過程を知りたいというのがある。描かれる人間関係がそれこそ古典的で、良し悪しはともかくとして、どこか安心できる部分があるのだ。自分は向こう側(昭和)の人間なのだなと実感できるところもある。 永田俊也「落語娘」の表題作は、女性落語家の旧態依然の男社会である落語界で奮闘する姿を描いた作品。2005年の発表なので、女性の落語家が増えてきている現在とはやや様相を異にするかもしれないが、本質的にはさほど変わっていないかもしれない。 落語娘 (講談社文庫) 作者:永田俊也 講談社 Amazon この作品は、ミ…