ロンドンの町の、高い高い家のてっぺんのへやに、年よりのコクルおばあさんが住んでいました。そのため階段を、84段も登ったり降りたりしなければなりません。 だけど、そのことをつらいとは思っていませんでした。 おばあさんの部屋の窓から、ロンドンの街がながめられたし、天井のはね窓から屋根上に出られたのです。 それはすばらしいながめでした。けれども、コクルおばあさんは、八十四だんのかいだんを上がらなければならないために、すでに、ひざのうしろがわがいたくなっていました。 だから、もし、ピーターがいなければ、おばあさんは、やねに上がれることなんか、どうでもよかったにちがいありません。 ピーターというのは、コ…