10年近く前、大阪天王寺にある大阪市立美術館で鑑賞したボストン美術館所蔵の日本美術の展覧会は衝撃的だった。長谷川等伯、光琳、若冲、そして蕭白。蕭白の巨大な雲竜図には度胆を抜かれた。また、大胆でスピード感のある筆致の商山四皓図屏風にも感銘を受けた。呼び物の平治物語絵巻のうち三条殿夜討巻は、火炎や兵士群像そして生々しい殺戮の場面などたいへんな迫力だった。 我々のご先祖様、凄い!、としか言いようがない。全体として遠出をしたかいがあった。 これだけの日本美術の至宝がボストン美術館にコレクションとして残ったのは、ビゲロー、フェノロサ、そして岡倉天心の功績である。明治新政府とファナティックな国学者たちによ…