※この記事は2023年9月24日にBloggerで投稿されたものです。 上田早夕里さんの人気ディストピアシリーズの4作目、長編だと2作目。長編の1作目の「華竜の宮」は第32回日本SF大賞を受賞した国内SF屈指の名作。 この人の作品の世界観や物語のスケールの大きさにいつも圧倒される。著者のデビュー短編集を初めて読んだ時の衝撃は今でも忘れない。ダークで作品によってはノワールな雰囲気を醸し出すSF短編集を日本に一時帰国した後のロサンゼルスに向かう便の中でかぶりつくように夢中で読んだのを今でも明瞭に覚えている。 3人のまったく違う境遇、目的、視点、イデオロギーをもつ主人公によって、紡がれるさらに拡大さ…