むかしむかし、1983年ごろ小学校の教室に漫画の「はだしのゲン」という原爆の悲惨さを描いた作品があり、全巻読んだことがあった。 そのなかに、とても印象的な僧侶にまつわる逸話、体験談があり、少年だった私の脳裏に焼き付いた。 それはむしろ戦争や原爆の悲惨さよりもエゲツナイと思った。 どこの宗派の話かは明らかにされていない。 おそらくどこもたいして変わらない。 戦後、都市部に浮浪少年や傷病者が溢れかえり、飢えた人間がわんさかいた。そのころの悲惨さは、今もまだまだ多く語り継がれて、漫画ではない現実事実だとよくわかる。 その広島市内で浮浪少年に、優しい微笑みを浮かべて裕福な袈裟の僧侶が道端でおむすびを与…