荒《あれ》だちし 波に心は騒がねど よせけん 磯《いそ》を いかが恨みぬ (頭中将乱入騒ぎで ) 破いたまま忘れていた指貫と帯を持たせてくれた 源典侍に by 源氏の君🕺 〜荒々しく暴れた波(頭中将)には驚かないが その彼を寄せつけたあなた(磯)を どうして恨まずにはいられましょうか。 【第7帖 紅葉賀 もみじのが】 源氏は友人に威嚇《おど》されたことを残念に思いながら 宿直所《とのいどころ》で寝ていた。 驚かされた典侍は 翌朝残っていた指貫《さしぬき》や帯などを持たせてよこした。 「恨みても 云《い》ひがひぞなき 立ち重ね 引きて帰りし 波のなごりに 悲しんでおります。 恋の楼閣のくずれるは…