のっけからの驚きのスタート。 「父さんは今日で父さんをやめようと思う」 春休み最後の日、朝の食卓で父さんが言った。 中学教師だった父は「父さん」をやめて予備校生となる。いいんじゃないと事もなげに受け流すのは、高校までは神童と呼ばれた、超マイペースな直ちゃん(兄)。家出をして一人暮らしをするも、ちょいちょい家に帰ってくる母も反対しない。こうした家族を淡々と、そして突っ込みを入れつつ見守る「私」(中学生)。 ありえないからこそ羨ましく、そして楽しめる。でもその後重苦しい。 この作品、面白かった! 主人公の私は中学生だからいいけど、ほかの家族が子供っぽい割り切れなさを残しつつ生きており、それがユーモ…