無関係な死・時の崖(新潮文庫) 作者:安部公房 新潮社 Amazon 『無関係な死・時の崖 改版』安部公房著を読む。 新たな小説の井戸を掘り続けた著者の10の短篇集。発表当時は、最先端の文学だった。純文学のフィールドからSF、伝奇、幻想、ホラーのフィールドを侵犯してナウなヤングをうならせていたのだろう。演劇化や映像化を意識して書いていたのではなかろうか。いま、読んでも、驚いたリ、感心したり。その変わらぬ切れ味。 以下5篇を紹介。 『夢の兵士』「防寒訓練のため」とある部隊が雪深い山に入った。一人の兵士が厳しい訓練に耐えかねてか脱走してしまった。麓の村では、あたかも山村に降り立った羆が現われたよう…