最近の読書 2 須賀敦子の単行本未収録のエッセイを集めた『霧の向こうに住みたい』河出書房新社、2003、河出文庫2014)に洗濯の話が出てきた。ドイツでは洗濯物を煮るという話を2032話で書いた。イタリアの例がこの本にある。 1960年代に、著者の姑が「大洗濯の日」という習慣があったという話をしてくれた。著者の夫はイタリア人だ。 「田舎じゃあ、と彼女は言った。春になると一年に一回の<大洗濯の日>っていうのがあってねえ。一年に一回、朝早くから大鍋で洗濯物を煮るのよ。シーツやら、テーブル掛け、ナプキンも何もかも、前日から灰を入れた水に行けておいたのを、ぐつぐつ煮る」 洗濯を終えると、牧草に布を広げ…