先日90歳で亡くなった推理作家の森村誠一に「人間の闇」と言った題名の小説はないが、彼は「人間の条件」とか、人間の心の奥に潜む闇を抉り出して、ベストセラーの推理作家になった。晩年は痴呆症を患っていたようだが、ほぼ長寿を全うしたと言える。 彼は俳句にも長けていて、自身が住んでいた熊谷の自宅を俳句館として公開している。 同じ熊谷出身の俳句の大家に金子兜太がいて、戦前の海軍経理学校では中曽根康弘と合い前後する。金子も100歳まで生きて、晩年、俳句を良くした中曽根と対談が行われたが、同じ戦中を生き延びた二人、歴史観にはかなりの違いがあったようだ。その金子より10歳ほど若い森村も強烈な反戦家で、数々の小説…