『爆弾』 呉 勝浩 1.4倍速にして約10時間、まあまあのボリュームでのサスペンス。終盤の強さがもっとほしかったような気もするけど、なかなかにスリリングなお話。物語の7割は取調室での攻防戦。いろいろな思惑や腹黒さが数多の警察関係者で蠢いている中で「任務」や社会通念的「正義」という軸になんとかしがみつきながらそれぞれの職務をまっとうしていく群像劇。そして枠の内側と外側で変わってくる「正義」というものもとても興味深い。それゆえに二次元の情報だけで奥行きも重さもない表現を振り撒く「枠外」の人たちの薄っぺらさに閉口する。どこかの瞬間で勇気を振り絞って決断したり、泥水啜りながらも行動したりした人だけが、…