はらだみずき著『海が見える家』 あらすじ 緒方文哉はとある訃報をきっかけに長年疎遠になっていた父親の家へと足を運んだ。父親が終の住処としたのは、文哉の生まれ育った実家とは別の場所だった。その地で、父親の痕跡をたどりながら、最期の瞬間まで、どうやって生きていたのかを知っていく。 なぜ、父はその場所を選んだのか。父と子の最後の対話に耳を澄ませてみてほしい。 ― ― ― もし、自分の両親が死んだら。そんな、遠い未来のことを考えるのは、難しいものです。とはいえ、その瞬間はいつか必ず訪れるとうのは、きっと誰もが同意する自明の理とういものでしょう。 一般的に、死というものは悲しみに包まれています。故人との…