『狒々門の奥の入江のむじな島にて。』とは 日本の中国地方のとある場所に、古くから「狒々門(ヒヒモン)」と呼ばれている一対の自然巨石柱があり(一説には自然石ではなく人工的なものだとも言われているが)、その奥にある海に突き出た半島の入江にポツンと浮かぶ「むじな島」という小島の辺りでは、しばしば天人(テンニン)らしきものと、それが連れて歩く山のように大きな猿の如きものが目にされている。ぼくはひょんなことから、そのむじな島を臨む土地で暮らしはじめることになり、その初日に、天人らしきものと大きな猿の如きものを目撃する。 「狒々門の奥の入江のむじな島辺にて、大猿の如きものを連れた天人らしきもの磯へ上がるを…