瑞芳駅から九分へはバスで行く。 東口改札を出て、駅前の大通りを左へ200mほど行った所にあるその乗り場に着くと、それなりに先客が待っており、それを目当てに一人のタクシードライバーが現れて妙齢の日本人三人組に声を掛けてきた。 タクシー速い、バス遅い――との陳腐で見え透いたセールストークに彼女らは応じ、もう一人くらい相乗り客が他にいないかしら――と言いながらこちらをちらりと窺ってきた。 そのやり取りで耳に入った金額はごく妥当なもので、手を挙げてもよかったのだけれど、ここで楽をしてしまうと以後ずっと引き摺りそうな気がしたので身を引いた。 さて、遅いというバスはいつ来るのだろうと思ったら、さらに数人の…