米國人の歡待ぶり 忙がし振りを見せぬ主人 瓜生海軍中將夫人 瓜生繁子 船中の十一日間 去る五月五日私は日本丸に乗り米國に向ひました。乗客には英米獨佛其他諸國人の上等客が五十三名御座いまして毎日踊りもあれば運動もある、或は活動寫眞に興を添へ、又は談話に花を咲かせ、布哇 ハワイ のホノルヽに着くまで十一日間、少しも退屈もせずに面白可笑しく船中に起き伏し致しました。 私は外國人が日本の事情によく通じて居るのには尠 すくな からず感じましたが、活動寫眞に現はるゝ日露戰爭の繪などは、元帥將校の姓名までもよく知つて居ります。これは多くが興味を以て日本を研究してゐるので、文學美術風俗等中々私共の存ぜぬ事まで…