『エッシャーに魅せられた男たち 一枚の絵が人生を変えた』 野地秩嘉 著 知恵の森文庫 この本は、1996年に刊行された『エッシャーが僕らの夢だった』を、2006年に改題、加筆、修正し、文庫化したもの。 2006年に文庫化したのは、この年の11月11日から翌2007年1月13日まで「スーパーエッシャー展 ある特異な版画家の軌跡」と題された企画展が開催されたからだろう。 正直、改題しない方が良かった気がする。 なぜなら、日本でエッシャーを広めた功労者として評価されるべき人物のうちの1人は河井藤江という女性だからだ。美術と建築関連の洋書を輸入販売する東光堂に勤めていた彼女が、1965年に目録の中から…