【91話】 クリスマス、その日は俺にとってただの日ではなかった。 気まずい別れ方をしたアオイとの記憶が、心の奥深くに突き刺さっていた。 俺たちは普段、別れ際には必ず次回の会う日を決めていた。 しかし、今回はそうはいかなかった。 アオイに掛ける言葉が、どうしても見当たらないのだ。 冬休みが来て、俺には時間ができた。 これは、ある意味で俺にとっては好都合だった。 心の整理をつける時間が必要だったからだ。 そして、大晦日。 我が家は、三家族が集まる賑やかな場所に変わった。 シン伯父さん、ユミさん、ゲン伯父、チズルさん、リョウジ君、そしてタケミチ。 俺の楽しみは、お年玉をもらい、タケミチと遊ぶことだっ…