翻訳家、ワセダミステリ・クラブOB。 早川書房勤務後、翻訳家に。翻訳に『悪党どもの荒野』(ブライアン・ホッジ著、邦訳2001年、扶桑社刊)、『グリーンマイル1〜6』(1996年発表、スティーヴン・キング著、邦訳1997年、新潮社刊)、『法律事務所』(1991年発表、ジョン・グリシャム著、邦訳1992年、新潮社刊)他多数。
アウトサイダー(上)(下) / スティーヴン・キング(著)、白石朗(訳) その1:ネタバレなし感想 スティーブン・キングの最新長編『アウトサイダー』を読了した。これは本国では2017年に刊行された『The Outsider』の翻訳版となる。 物語は11歳の少年の惨殺死体が公園で発見されることから始まる。現場に残された指紋と目撃者の証言から犯人は教師でありリトルリーグコーチでもあるテリー・メイトランドと断定、刑事ラルフ・アンダーソンは衆人環視の中彼を逮捕する。しかしテリーは事件当日遠く離れた別の街におり犯行は不可能、彼と同行していた者の証言も確かだった。二つの場所にいた一人の人間。そしてさらに衝…
スティーヴン・キング著。白石朗訳。文春文庫。 作家だった夫を亡くした痛手を抱えるリーシーは、ようやく遺品整理をはじめた。すると、夫が自分に遺したメッセージが見つかる。彼は何かを伝えようとしている。それは夫の創作の秘密、つらい時に彼が訪れた異世界“ブーヤ・ムーン”に関わるものだった…。人に降りかかる理不尽との戦いを巨匠が全力を注いで描く超大作。(上巻裏表紙引用) 売れっ子作家スコット・ランドンの妻リーシーは、夫亡き後呆然とした日々を送っていた。、そろそろ立ち直らなくては生活がたちゆかない。やがて姉アマンダの精神病、スコットの未発表原稿の催促に翻弄されるようになるが…。 前半はいつものキングらしく…
先週刊行された本から気になった本をピックアップする今週注目おすすめ15冊です。 今回は文芸作品では朝井リョウさんの多様性をテーマとした衝撃の一冊『正欲』、宮部 みゆきさんの江戸怪談もの『魂手形 三島屋変調百物語七之続』、湊かなえさんの青春小説『ドキュメント』、スティーヴン・キングの新作『アウトサイダー 上・下』などが刊行になっています。 また子どもが算数を考える時に頭の中で何が起きたのかを推理する『子どもの算数、なんでそうなる?』、竹宮惠子さんの決定版自伝『扉はひらく いくたびも-時代の証言者』、サブスクリプションの出現により、人類史上もっとも自在に音楽を聴くことができる現代にあえてメタルをオ…
『スペース・オペラ』白石朗訳(Space Opera,Jack Vance,1965)★★★☆☆ ――未知の惑星ルラールから来た〈第九歌劇団〉は素晴らしい演目を披露したあと、忽然と姿を消した……オペラの後援者デイム・イサベル・グレイスはその失踪の謎を解決するため、地球の歌劇団をひきいて様々な惑星をめぐる宇宙ツアーに乗り出すことを計画する。イサベル・グレイスならびに歌劇団の面々とともに宇宙船ポイボス号に乗り込んだのは、〈第九歌劇団〉を招いた団長にして宇宙船船長アドルフ・ゴンダー、音楽学者バーナード・ビッケル、イサベルの甥のロジャー・ウール、そして謎めいた美女マドック・ロズウィン。かくして波瀾万丈…
楽山の自慰 ヨブ記とスティーヴン・キング (『マイル81 わるい夢たちのバザールI』) 2021年02月11日 楽山日記(LD) http://mn266z.blog.jp/archives/28025513.html 楽山からの、本の言葉面だけを使っての、飽くなき、地獄への招待状、人間の腐敗への自慰行為のお誘いです。このようになってしまったら、どうしようもない、という、末路の虚無世界であります。こういうのに引っかかると、生産的思考は破壊されます。 >*偶然最近はまじめな本ばかり読んでいたので、たまには気晴らしにエンタメ小説でも読んでみようと思ってキングの短編集を開いたら、「ヨブ記」の話が出て…
スティーヴン・キング著。白石朗訳。文春文庫。 冬季閉鎖中のホテルで起きた惨劇から30年。超能力“かがやき”をもつかつての少年ダンは、大人になった今も過去に苦しみながら、ホスピスで働いていた。ある日、彼の元に奇妙なメッセージが届く。差出人は同じ“かがやき”をもつ少女。その出会いが新たな惨劇の扉を開いた。ホラーの金字塔『シャイニング』の続編、堂々登場!(上巻裏表紙引用) 「シャイニング」の続編。オーバールックホテルが爆発炎上してから30年後の物語。 実は先日、映画を先に観てしまったのでだいたいの展開を知った状態で読んだ。ほぼストーリーは原作に忠実だったのだな、とホっとする。「シャイニング」の映画が…
漫画も含めて75冊。う~ん。 読んだ本の数:75読んだページ数:21416念入りに殺された男 (ハヤカワ・ミステリ)読了日:12月26日 著者:エルザ・マルポ王道の狗 6 ミスターマガジンKCDX読了日:12月11日 著者:安彦 良和王道の狗 5 ミスターマガジンKCDX読了日:12月10日 著者:安彦 良和王道の狗 (4) (ミスターマガジンKCDX (1211))読了日:12月09日 著者:安彦 良和王道の狗 (3) (ミスターマガジンKCDX (1042))読了日:12月05日 著者:安彦 良和王道の狗 (2) (ミスターマガジンKCDX (988))読了日:12月04日 著者:安彦 良…
I found a book that I want to read. 犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 (日本語) 単行本 – 2004/4/17 コニー・ウィリス (著) 大森望 (翻訳) 本と作家のリスト 関連作品シリーズ ブラックアウト (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) (日本語) ペーパーバック – 2012/8/8 コニー・ウィリス (著), 松尾たいこ (イラスト), 渡邉民人(TYPEFACE)〔カバーデザイン〕 (イラスト), 大森 望 (翻訳) オール・クリア 1(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 単行本 – 2013/4/10 コニー・ウィリス …
『ファインダーズ・キーパーズ』上下 スティーヴン・キング 白石朗/訳 ★ 文春文庫 2020.10.8読了 ちょうどひと月ほど前に読んだ『ミスター・メルセデス』の続き、ホッジズ刑事シリーズの2作目である。前作が面白かったからすぐに買っておきスタンバイしていた。あのメルセデス事件にまた1人絡んでいる犠牲者がいた。 前作で登場したホッジズとホリーは人探しをする私立探偵社を作る。ホッジズがメインで進むのかと思いきや、出てくるのは物語のほぼ半分を過ぎてから。この作品では文学を愛するが故に犯罪を犯すモリスと、同じく文学を愛する少年ピートが主人公だ。ピートが正義の主人公だとすればモリスは悪の主人公。 モリ…
映画「ドクター・スリープ」をテレビで観たので、レビューします! 【ドクター・スリープ - Wikipedia】 ドクター・スリープ Doctor Sleep 監督 マイク・フラナガン 脚本 マイク・フラナガン 原作 スティーヴン・キング 製作 トレヴァー・メイシージョン・バーグ 製作総指揮 ロイ・リースコット・ランプキンアキヴァ・ゴールズマンケヴィン・マコーミック 出演者 ユアン・マクレガーレベッカ・ファーガソンカイリー・カラン(英語版)クリフ・カーティス 音楽 ザ・ニュートン・ブラザーズ 撮影 マイケル・フィモナリ 編集 マイク・フラナガン 製作会社 イントレピッド・ピクチャーズヴァーティゴ…
『ミスター・メルセデス』上下 スティーヴン・キング 白石朗/訳 ★ 文春文庫 2020.9.2読了 久しぶりのキング作品だ。キング氏の小説を読むときは、軽い気持ちで読めないから心して挑む。この作品はのちに続く『ファインダーズ・ キーパーズ 』『任務の終り』と同じビル・ホッジズ刑事3部作シリーズの1作目である。アメリカではテレビドラマでも人気になったようだ。 引退した元刑事ホッジズは、未解決の無差別大量ひき逃げ事件の犯人、ミスター・メルセデス(メルセデス・ベンツでひき逃げした)から挑戦状とも受け取れる挑発の手紙を受け取る。元コンビである現職刑事ピートに相談せず、自分で解決しようとする。犯人が誰か…
スティーヴン・キング著。白石朗訳。文春文庫。 ある晴れた日、田舎町チェスターズミルは透明の障壁によって外部から遮断された。上方は高空に達し、下方は地下深くまで及び、空気と水とをわずかに通す壁。2000人の町民は、脱出不能、破壊不能、原因不明の“ドーム”に幽閉されてしまった…。スピルバーグのプロダクションでTV化。恐怖の帝王の新たなる代表作。全4巻。(1巻裏表紙引用) キングの大長編。あまりの面白さに、一ヶ月ちょっとで読破。ぱちぱち。 メイン州の田舎町チェスターズミルに突如出現した透明型ドーム。取り残された2千人あまりの人々は完全に閉じ込められ、脱出不可の無法地帯となった。町政委員、警察、元軍人…
こんなご時世ですが『今を生きる』を紹介します。1959年の架空の名門私立校ウェルトンが舞台。規律と伝統を重んじる厳格な校長が支配しており、目指すはハーヴァード大学を筆頭に優秀な大学への入学、といった校風でした。自主性や自由思想を育む教育は、一般的にもまだ求められていなかった時代。そこへ新任の教師が着任します。情熱的で型破りな授業により、生徒たちの萎縮した自立心に影響を与えてゆきます。 あらかじめ経済的に恵まれた職業を約束された、しかし、両親の敷いたレールの上を歩くだけの人生。それぞれに富裕な階級に生まれ育った生徒たちは、程度の差こそあれ、両親の期待とそれに応える重荷を肌に感じて、閉塞感で一杯。…
サンフランシスコで古美術商と私立探偵を営むジム・ブローディのもとに、市警の友人から一本の電話が入る。ジャパンタウンというショッピングモールで日本人一家五人が惨殺される事件が起き、日本で生まれ育ち、日本の事情に詳しいブローディに助言を求めたのだ。現場には、謎の漢字一文字が記された血まみれの紙片が残されていた。その漢字は、四年前妻が住宅火災で亡くなった現場にあったものと同じだった。今回の事件は妻の死と関係があるのだろうか?漢字の謎を追っていくうちに、娘が事件に巻き込まれてしまう。愛する娘を救うべく、ブローディは強大な日本の秘密組織に立ち向かっていくが、そこには驚愕の真相が―。全米大絶賛のハードボイ…