Stephen King
スティーブン・キング/スティーヴン・キング
デビュー作『キャリー』(新潮文庫/Carrie:A Novel of a Girl with a Frightening Power, 1974)以来30年間次々とベストセラーを生み、”モダン・ホラーの旗手”と呼ばれる。映画化された作品が多いことでも有名。ホラー以外にも、SF、ファンタジー、スリラー、ドラマなどの一般小説と、1人でありとあらゆるジャンルを書いている点においても、珍しい存在である。
売れない作家時代を赤貧で過ごす後、映画化された『キャリー』でベストセラー作家に。以後、出す本全てがベストセラーとなり、「キング名義ならば電話帳でも売れる」とまで言われる。
キング作品の特徴として「長い」ことが言われるが、キングの場合は「長い」と「読みにくい」が一致していない場合が多い。登場人物が送る市井の人の日常を細かなエピソードの積み重ねを描き、その日常に徐々に忍び寄る怪異と恐怖を積み上げ、最後は一気呵成の怒涛の展開となる場合が多いのだ(「キングを読むことはアメリカを読むことだ」と評した人もいたという)。実際、1つの区切りが数ページの場合が多く、非常に読みやすい長編が多いと言える。序盤が退屈気味に感じられる時があっても、ほぼ間違いなく終盤に迫力満点の展開となる場合が多い為に、ファンは次から次へとキング作品に手を伸ばしてしまうのだ。
コミックで使われる擬音(「Eeeeeee!」「Blam!」など)や、イタリック体、ゴチック体、手書き文字、図形の多用など、文字通り視覚的にも凝る作家である。特にイタリック体は好きなようで、翻訳版では点を打ったり、カッコ書きなどにしたり、時には手書き風フォントを使ったりなど、訳者や編集者の苦労がしのばれる。
多作家のキングは書くのが非常に速く、また感謝祭と独立記念日以外の毎日を執筆に充てている(交通事故後の2006年6月現在は不明)。構成などは特に意識せずに気持ちの赴くままに執筆し、最後まで書き上げたら原稿を寝かせておく。時間が経ったら1度目は原稿を取り出してプロットを見直し、2度目は言葉を洗う。最終的には1番最初に書いたものよりも大よそ3割程度短くなるという。