イベント日程/WS日程/通販 【立ち読み】 九月一日午後三時過ぎ。 都心から各駅停車の在来線で二十分ほどの駅に降り立った鬼頭光姫(きとう みつき)は、その田舎な風景と空気感に少々面食らっていた。 想像していた『東京都』とはかけ離れた郊外さに、思わず、手元の略地図に書かれた駅名と改札口にある駅名を何度も照らし合わせてしまったくらいだ。 ――間違いない。最寄り駅は、合っている。 ひとつしかない改札を出て、改めて閑散とした駅前を見渡してみた。 バスのロータリーはなく、猫の額ほどのタクシー乗り場と小さなベンチはある。タクシーは常駐していないらしく、ベンチには数人の男女が座ってタクシーを待っている。 駅…