フグは身近な毒物だ。 入手が容易で、 高い致死性をもっていて、 おまけに日本人ならば、ほとんど誰もがその性質を知っている。 「喰えば死ぬ」という共通認識、この普遍性がミソなのだ。この特徴ゆえ、他人を揶揄う材料として、フグは非常に便利であった。 (Wikipediaより、クサフグ) 鯛なり鱈なり何なりと、別な魚類と偽って、こっそりフグを食べさせて。しばらくしてから――胃洗浄しても無駄な時分になってから、 「ありゃ実は……」 と、おどろおどろしくバラすのは、もはや定番のネタである。やられた方は蒼褪めて、瘧(おこり)のように慄えだす。そこを愉しむ寸法である。 人が悪いと言えばそう、毫も反論の余地がな…