相続登記

相続手続の際に、被相続人や相続人の住民票が必要になる場合があります。しかし、住所がわからない場合はどうすればよいのでしょうか。 本籍地がわかっている場合は、「戸籍の附票」を取得するとよいでしょう。 「戸籍の附票」とは、戸籍に記載されている人の住所の履歴が記載されたものです。 本籍地において、戸籍と一緒に保管されています。 ですので、本籍地がわかっている場合は戸籍の附票から住所地が判明し、住民票を取得することができます。 戸籍の附票は、相続登記の際、住民票の代わりに住所を証する書面としても使用することができます。 相続登記を司法書士に依頼した場合は、司法書士が戸籍の附票や住民票などの必要な書類を…

相続について受けるご相談の中で、「相続登記に必要な戸籍は『原戸籍』ですか？ 『除籍』ですか？」というものがあります。 「除籍」とは、その戸籍に記載された人が死亡や婚姻、転籍などにより全員がいなくなった状態の戸籍のことです。 また、戸籍は、法律の改正や行政機関の電子化に伴って何度か改製されてきました。その改製される前の戸籍を「原戸籍（改製原戸籍）」と言います。 相続登記の際には、「被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍」と「相続人の現在（被相続人の死亡後）の戸籍」が必要となります。 ※ケースによって必要な戸籍は変わってきますので、あくまでも原則的な内容です。個別のケースについては専門家にお問い…

民法８９６条には「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」とあります。 相続人は相続の開始の事実を知らなかったとしても、相続が開始すると、その時点から被相続人のすべての財産（プラスの財産もマイナスの財産も）を引き継ぐこととなります（被相続人の一身に専属するものを除きます）。 しかし、相続関係にある複数の人がほぼ同時に亡くなり、その死亡の先後が判明しない場合、相続関係はどうなるのでしょうか。 これについては、民法３２条の２で「数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存してい…

相続放棄についてのご相談で、よくお受けするご質問を紹介したいと思います。 ※紹介する内容は、実際の相談をアレンジしたものです Ｑ１「父の借金を相続したくないので、父が生きているうちに相続放棄をしたい」 Ａ１ 残念ながら、生きている方の相続放棄をすることはできません。民法第９１５条には、相続放棄の期間について「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から」と定めており、相続放棄をすることができるのは、相続が開始した「後」となります。 Ｑ２「父の借金を親戚一同が相続したくないので、子である自分や、おじ・おばも同時に相続放棄をしたい」 Ａ２ 「子である自分」と「おじ・おば」が同時に相続…

登記上、土地・建物の所有者が「何代も前の方」のままになっていることがあります。 中には、明治時代の方のままになっているケースもあります。 民法の相続法は何度か改正されています。 とくに大きな変更として、「明治３１年７月１６日～昭和２２年５月２日」に適用されていた民法では、被相続人が「戸主」の場合、「家督相続」による相続が行われていたという点が挙げられます。 （被相続人が戸主以外の家族の場合は、「遺産相続」による相続が行われていました。） 「家督相続」においては、家督相続人である「戸主」が〈前戸主の有した一切の権利義務を承継すること〉となっていました（前戸主の一身に専属するものを除く）。 相続登…

民法第９００条及び第９０１条で決められている相続分のことを「法定相続分」と言います。 １．「配偶者」と「子」（第一順位）が相続人の場合 配偶者…２分の１ 子…２分の１ （子が数人いるときは、均等の割合。） ※平成２５年の民法改正により、「嫡出でない子」の相続分も嫡出子の相続分と同等となりました。 ２．「配偶者」と「直系尊属」（第二順位）が相続人の場合 配偶者…３分の２ 直系尊属…３分の１ （直系尊属が数人いるときは、均等の割合。実親と養親がいるときは、それぞれ均等の割合。） ３．「配偶者」と「兄弟姉妹」（第三順位）が相続人の場合 配偶者…４分の３ 兄弟姉妹…４分の１ （兄弟姉妹が数人いるときは…

相続が順次開始することを「数次相続」と言います。 例えば、 ①祖父Ａ ―――――― ②父Ｂ ―――――― 子（Ｃ・Ｄ） （不動産の所有者） 上記のような関係で、①祖父（不動産の所有者）が亡くなった「後」に、②父Ｂが亡くなったというような例です。 （※昨日ご紹介した「代襲相続」とは相続開始の順番が異なります） このような場合、①祖父の相続と、②父の相続につき、それぞれ「相続人は誰か」を確定していきます。 上記の例のように、「祖父Ａ」の相続人が「父Ｂ」だけならばよいのですが、実際には「祖父Ａの配偶者」や、父Ｂ以外の「祖父Ａの子」が存在し、相続人に該当する場合があります。 もし、 「祖父Ａの配偶者」…