お土産に、干いもをいたゞいた。何十年ぶりかで口にした。記憶していたよりはるかに甘く、はるかに軟らかく、美味い。 サツマイモを口にする機会はめったにない。好物なのにもかゝわらずだ。理由はない。しょせんは一人家族の食卓。用途の多彩さと値段から、つね日ごろジャガイモにばかり手を伸ばしているだけのことだ。 品種改良が進んで、もはやサツマイモは野菜というより果物だという宣伝コピーを眼にしたこともある。包丁を入れると、断面に蜜が見えるような、甘く軟らかい高級品もあるそうだ。 いたゞいた商品も、そういうイモを使ったのだろうか。商品名「干いも」とあるが、私の記憶にあるのは「乾燥いも」だ。食品は絶えず進歩してい…