初粥の笥もみだれをり旅支度 一朴 年頭のわが想念界を訪れてくれた、すべての知友を送り出す日だ。恩師あり両親あり、早逝の友あり行方知れずの旧き仲間もある。私にとっては永遠のまれびとがただ。語りかけ、今さらながらに問い質することのできる、得がたい話し相手だ。一年後にまた再会できるとの保証はなく、これきりとなるかもしれぬまれびとがたである。 独居老人の初春膳には質も量も過ぎた、正味一キロの黒豆を仕入れた。これが尽きるまでが、まれびとがたとの団欒期間だ。残りが拙宅最小の小鉢に一杯のみとなった。栗きんとんが最後のひと粒となった。伊達巻が最後のふた切れとなった。いや違う。黒豆が尽きるのと睨み合せながら、他…