厳冬に備えて、準備おさおさ怠りなく、といったところか。 華麗な花期を了えると、彼岸花はさっそく来年に備え始める。葉の一本いっぽんはニラのごとくに細いのだが、群れてたくましく球状に茂らせる様相には、憎たらしいほどの生命力を感じさせられる。曇天の合間に短く射し来る陽光を、取りこぼしなく吸収しようとしているようだ。なまじ周囲の草ぐさをむしってあるので、その生命力の誇示は独走状態に近い。 来年の花時に歩行の邪魔になるのを懸念して、株分け移植を企てていたのだったが、とり紛れて時期を逸してしまった。もう一年、人間の往来に邪魔となる花を咲かせてもらうほかはない。 君子蘭も乏しい陽光を貪欲に浴びている。猛暑の…