ほり・たつお(1904-1953) 小説家、作家、批評家。随筆、翻訳も。室生犀星と芥川龍之介と知己、西欧と軽井沢を愛す。代表作に『聖家族』『奈穂子』『風立ちぬ』『曠野』『楡の家』、紀行記『大和路・信濃路』など。
1904年(明治37年)12月28日、東京生まれ。1929年、東京帝国大学文学部国文科卒業。 1953年(昭和28年)5月28日、死去。
youtu.be 今回は堀辰雄の名作風立ちぬ について お話していきます ジブリが同名の映画を出したこともあって相当有名なタイトルになりましたね 実は私は過去にも風立ちぬについて話しました 今回は久々に通読したのでそれを記念しての動画となります それでは風立ちぬについて 見て行きましょう 堀辰雄についてはこれまでも3本の動画で語りました タイトルの「風立ちぬ」は元々フランスの詩人ポール・ヴァレリーの 海の墓地 の一節です ヴァレリーの詩 『海の墓地』 南仏セト ヴァレリーはこの墓地から風景に感動して深い詩を書き やがてヴァレリー自身ここに眠りました 風が吹く 今こそ生きる時だ 風立ちぬ いざい…
こんにちは、皆さん!本と自然を愛するブログライター、一人ぼっちユウトです。今日は、日本文学の名作、堀辰雄の『風立ちぬ』について語りたいと思います。この作品は、美しく繊細な筆致で描かれる愛と喪失の物語であり、その詩的な世界観に多くの読者が魅了されています。 風立ちぬの魅力 『風立ちぬ』は、病に侵されたヒロインとその恋人が、避暑地で過ごす日々を中心に描かれた短編小説です。堀辰雄の文体は非常に静かで、自然描写とともに人間の心の機微を丁寧に表現しています。その結果、生と死、愛と孤独といった普遍的なテーマが、読者の心に深く響きます。 キャラクターの深み 主人公である"私"と、病に苦しむ節子との関係は、単…
厳冬に備えて、準備おさおさ怠りなく、といったところか。 華麗な花期を了えると、彼岸花はさっそく来年に備え始める。葉の一本いっぽんはニラのごとくに細いのだが、群れてたくましく球状に茂らせる様相には、憎たらしいほどの生命力を感じさせられる。曇天の合間に短く射し来る陽光を、取りこぼしなく吸収しようとしているようだ。なまじ周囲の草ぐさをむしってあるので、その生命力の誇示は独走状態に近い。 来年の花時に歩行の邪魔になるのを懸念して、株分け移植を企てていたのだったが、とり紛れて時期を逸してしまった。もう一年、人間の往来に邪魔となる花を咲かせてもらうほかはない。 君子蘭も乏しい陽光を貪欲に浴びている。猛暑の…
陰のち晴、冷気。チェスターフィールドコートを着用して事務所に向ふ。文京の並木の木の葉が愈々秋色を深めてゐる。 仕事中に谷崎の『武州公秘話』と『少年』を読み、露悪趣味に疲れた私は、何か清澄な物語を読んで洗はれたいと思つた。私の脳裡に堀辰雄が浮かんだ。 『美しい村』、例のごと軽井沢を舞台に、肺病で感傷的な青年が主人公の、半伝記的小説である。谷崎にしろ堀辰雄にしろ弱き男を描いてゐるのだが、その弱さの性質は大分と違ふ。何故私は前者を懦弱と唾棄し、後者を詩的と評価するのであらうか。弱弱しい、意気地のない、センチメンタルな男の戯言だと総括して、了りにしないのか。さうできぬのは、多分この男が、私に少し似てゐ…
色白で線が細い。咳き込むと体をくの字に曲げる。そんな人なら心の細やかさが尖り、人が感じない物を感じ取り、見えないものを見ることができるだろう。健康な人には縁のない世界を。 子供の頃からそんな姿に憧れていた。自分は咳が出ると止まらず気管が狭まり立っていられなかった。喘息と診断された。色白ではあったが肥満体だった。痩せていないから見られなかったのだろうか?特別な風景を。覚えている景色としたら病院の白い壁とネブライザーの水煙だけだった。 冒頭の人物にはモデルがある。明治から昭和戦後の作家、堀辰雄だった。「風立ちぬ・美しい村」を読んだ方も多いのではないだろうか。リリシズムというべきだろうか、清潔だった…
両国高校は、明治34年に東京府立第一中学校(現・日比谷高校)の分校として開校した学校です。当時は府立第三中学校といい、明治38年から43年まで芥川龍之介(明治25.3.1~昭和2.7.24 小説家)が在籍していた学校としても知られています。三中時代の芥川は、英語と漢文が抜群にでき、第一高等校(旧東大予備門)への進学も、成績優秀のため無試験で合格するほどだったそうです。 芥川の旧制中学5年間の担任は、のち三中二代目校長となる広瀬雄(明治7~昭和39 教育者)。広瀬はいち早く芥川の才能を見抜き、自宅に呼んでまで英語の講義をしてやるほと熱心に指導していました。そんな広瀬を芥川も終生師として仰ぎ、交友…
馬酔木の花 馬酔木の木は 村の山 道の脇 どこにでもある。 花が咲いていない時の馬酔木は 濃い緑の艶のある葉っぱが 枝にふさふさとついている 全く目立たない木だ。 20代に読んだ 堀辰雄のエッセイ「大和路」に 馬酔木の花が出てくる。 京都 浄瑠璃寺の山門への道に 並んで植っているというのを読み 数年後(半世紀前)に友達と尋ねた事がある。 JRの駅から どうやって行ったのか覚えていないが 田舎道 山道を随分歩いた記憶がある。 そして 辿り着いた浄瑠璃寺は 本堂の前に 小さな池があるこぢんまりとした寺だった。 綺麗な吉祥天の像もあったと思うが 覚えていない。 馬酔木の木は 花の季節ではなかった。 …
読書日記 2024年2月14-20日 ・堀辰雄『風立ちぬ』 ・フランツ・カフカ(原田義人訳)『変身』 ・渡辺航『弱虫ペダル』11-12巻 ・アイザック・アシモフ(川村哲郎・仁賀克雄訳)『夜来たる』 ・泉鏡花『春昼・春昼後刻』 ・江戸川乱歩『押絵と旅する男』 ・谷崎潤一郎『陰翳礼讃』 ・カート・ヴォネガット・ジュニア(伊藤典夫訳)『スローターハウス5』 ・アゴタ・クリストフ(堀茂樹訳)『悪童日記』 ・アゴタ・クリストフ(堀茂樹訳)『ふたりの証拠』 ・アゴタ・クリストフ(堀茂樹訳)『第三の嘘』 ・正岡子規『歌よみに与ふる書』 以下コメント・ネタバレあり
彼女の顔はクラシックの美しさを持っていた。(...)彼はいつもこっそりと彼女を「ルウベンスの偽画」と呼んでいた。 ルーベンス。国立西洋美術館にも何枚かは所蔵があつたと思ふ。ルーベンスの、陽光を帯びる鮮やかな色づかいは、確かに比類なく美くしい。だが彼の筆致は宗教画向きではない。彼の描く人間、薔薇色の肌を持つ人間は、生き生きとし過ぎてをり、背徳的ですらある。 主人公の年齢は定かでないが、恐らく十八から二十四の青年。年の割に少年の多感さを残してゐる。彼は恋愛に初心で、その気性にコンプレックスを抱いてゐるやう。本作はそんな彼の精神を分析する、フランス式の心理小説である。 以前、『聖家族』の時にも書いた…
♬ 風たちぬ~ 今は秋 今日から私は心の旅人・・・・ もう泣くなよとあなたがくれた・・・さよなら~~~ ♪ (「風立ちぬ」歌:松田聖子 作詞:松本隆 作曲:大瀧詠一) ハチヤ君がコピーを整理しながら、くちずさんでいる。 私「おやまぁ、松田聖子かい?よくそんなキーの高い曲を歌うなぁ」 ハ「あ、のりもさん。おはようございます。この歌すきなんですよ。秋らしいでしょ」 私「と言うよりも、聖子ちゃんだからだろ?アイドル好き、ハチヤの面目躍如だもんな」 ハ「もぉぉ・・・」 私「当ったろう?俺なんかは、『風たちぬ』っていうと、堀辰雄の小説の方を思い出すよ」 ハ「はは、さすが、古いこと好きの『のりも』さん」 …